精神科看護師の仕事が向いているタイプとは?その後のキャリアアッププランは?
精神科看護師にどんなイメージを抱いているでしょうか。
「医療行為が少なくて楽」「特殊な業務が多そう」など、さまざまなイメージがあるかもしれませんね。
今回は、精神科看護師に注目しながら、仕事内容やどのような人が向いているかチェックしていきましょう。
精神科看護師の仕事内容
精神科看護師は、一般的な診療科に比べて点滴などの医療行為をする機会が少ないのが特徴です。
一方で、患者さんへの投薬や食事、その他生活の指導をするほか、外へ出る際の同行や退院へ向けたサポートなど精神科だからこそすべきことはたくさんあります。
精神科看護師に向いている人の特徴
精神科に向いている看護師、というのはどんな看護師なのでしょう。
もちろん、患者さんの性格もそれぞれ違うため、合う看護師もいれば合わない看護師もいます。
合わなければ無理せずに担当を変更することも可能ですが、ここでは精神科看護師に向いているタイプについて一般的な意見をまとめてみましょう。
いつでも冷静な対応ができる
患者さんは、ときには看護師に怒りや暴力をぶつけるような症状の人もいます。
そんな場合でも、患者さんがどうすれば落ち着くかをよく考え、対応しなければいけません。
もちろん看護師も人間ですから、理不尽な対応には怒りたくなることもありますが、そのまま怒りをぶつけずに冷静に適切な対応をする必要があります。
精神科看護師は、自分や他人の強い感情を引きずらず、トラブルに巻き込まれないような冷静さが必要です。
ゆっくりしていて落ち着いている
患者さんはゆっくりと改善へ導かれていくことも多いため、長期的な視野で観察することも大切です。
多くの看護師が効率のいい仕事を求められますが、精神科で患者さんの対応をする場合にはアセスメントしながらも、じっくり待ちましょう。
気分を切り替えられる
患者さんはときに攻撃的になったり、スタッフによって言動を変えたりする症状もあるため、精神科看護師も気持ちが引っ張られてしまいがちです。
その中で、業務の振り返りはしても、自分自身を責め続けずに切り替える力が求められます。
経験を積んでいくと、精神科看護師らしい落ち着いた対応も自然とできるようになりますよ。
精神科看護師に向いていない人の特徴
医療行為について現場で学びたい
もちろん精神科看護師も、身体的な観察をしますが、やはり一般科に比べると医療行為をする機会は少ないです。
身体的看護や点滴や採血の方法について学びたい、医療機器の扱い方を知りたい人は他の診療科が向いていると言えるでしょう。
じっと待てない
精神科看護において、「待つ」という行為は非常に重要です。
興奮・混乱している患者さんとコミュニケーションをとったり、言葉に耳を傾けてもらったりするためには、何度も同じ内容をお伝えしたり、他のスタッフに変わってもらったりといったアプローチも必要です。
せっかちな人は、患者さんからもスタッフからも信頼が得られにくくなります。
コミュニケーションが苦手
患者さんとのコミュニケーションは必要不可欠であり、ただ傾聴するだけでなく自分自身で考えていただいたり、伝え方を変えたりする必要があります。
さらに精神科看護師は、自身の言葉が患者さんの病状に影響を与えるという責任もあります。
また、精神科では一人の患者さんに対し、スタッフ間で対応をそろえなければならないことから看護師や医師とのコミュニケーションも不可欠です。
他人と関わることが苦手だと、苦労するかもしれません。
精神科看護師が活かせる経験は?
これまでの看護師経験
採血、点滴のほか、他の診療科で経験したことは、精神科で働く上でも自信になるでしょう。
精神科では他の診療科に比べて医療処置の機会が少なくなりますが、身体的疾患を合併している患者さんの処置をするときや、急変時の対応をするときにはこれまでの看護経験が役立つでしょう。
子育ての経験
思い通りに行かないことばかりの子育ては、精神科看護と同じで忍耐強さが必要になります。
患者さんを看護師の思い通りに動かそうとせず、一人ひとりの強みを活かしてサポートすることが、精神科看護師にも求められます。
子育ての経験のある看護師はそれを看護に活かすことができ、また精神科看護の経験を子育てに活用することもできるでしょう。
プライベートの趣味
患者さんの中には自立している方もおり、看護師と過ごすあいだにコミュニケーションをとったり、ともに趣味に励んだりすることもあります。
ときには患者さんから囲碁などのゲームに誘われるときもありますが、私はルールが分からずお断りしてしまい、とても後悔しました。
歌好きな看護師の場合は、患者さんとともにカラオケを楽しんでいることもあります。
患者さんと一緒に趣味を楽しむことも、看護につながります。
精神科看護師のキャリアアップについて
精神科看護師のキャリアアッププラン
経験を5年以上積んでいくことで、日本精神科看護協会による「精神科認定看護師」という資格にチャレンジできます。
また、大学院を修了すれば日本看護協会の「精神科専門看護師」も目指せます。
どちらも精神科看護のプロとして患者さんや、スタッフへの教育に当たることができます。
さらに包括的暴力停止プログラム(CVPPP)として、現場での暴力への対応を学んだり、学んだ内容をCVPPPトレーナーとしてスタッフと共有することもできます。
精神科の経験を他の仕事で活かすには?
精神科看護師として身につけたコミュニケーションスキルなどは、日常生活でも大いに生かせるでしょう。
そのため、身につけた技術に接客スキルなどをプラスすることで、接客業やサービス職、営業職にも役立てることができると思います。
精神科看護師の給料について
基本給はおおむね25万円程度、手当込み30万程度が相場となるでしょう。
賞与はおおむね年2回、4か月分程度が目安となります。
給料については、精神科だからといって他の診療科と大きく違うことはありません。
病院によっては、精神科は患者さんからの暴力への対処として危険手当がある場合もあります。
精神科看護師のメリット
ブランクがあっても働ける
精神科看護師は他の診療科に比べて点滴や注射、医療行為などが少ないため、ブランクがある看護師でも働きやすいでしょう。
子育ての経験を活かせる
子育ての経験があれば、思い通りに進まないことにも慣れていると思いますので、そうした経験を活かすことができます。
自分を振り返ることができる
患者さんとかかわる中で、今までの自分自身の看護について振り返ることができます。
精神科で働く中で患者さんと向き合うと、我慢するばかりではなく毅然とした対応を崩さないことも大事だと分かります。
さまざまな患者さんと付き合う中で、わかりやすい説明、アサーティブな対応についても学ぶことができるでしょう。
残業が少ない
精神科は一般科に比べて急変や医療行為が少ないことから、残業なしで定時に終わりやすいのが魅力です。
しかし、多飲水による水中毒、便秘によるイレウスなどの急変はありえるでしょう。
それらの予防として、日頃から密な観察が必要です。
患者さんと繰り返しコミュニケーションを取りながら、精神面も身体面もわずかな変化を見逃さないようにしましょう。
精神科看護師の求人の選び方とポイント
精神科看護師が働ける場所は病院やクリニック、訪問看護、デイケアとたくさんあります。
さらに急性期と慢性期とでは印象が違うため、自分に合う求人を探しましょう。
雇用形態から選ぶ
正職員は、充実した福利厚生や給与を得られる特徴がある上、精神科の場合一般科よりも残業が少なく、働きやすいという魅力があります。
パートやアルバイトならさらに時間の融通が利きやすく、嘱託職員なら定年の年齢を過ぎてからも働けるのが魅力です。
さらに一定の条件を満たした精神科看護師の場合には、各種保険に入れる可能性もあります。
夜勤専従やWワークを叶えている精神科看護師も少なくありません。
労働環境から選ぶ
精神科看護師の給料は、残業が少ないため他の診療科に比べてやや少なくなっています。
しかし、手術などがない分病棟にそれほど大きな動きもなく、点滴などの準備や情報収集も必要ないことから落ち着いて業務に取り組めます。
さらに雇用条件の就業時間や、休日、賞与なども違うため、労働環境や条件を見極めながら、働きやすい環境を見つけることが大切です。
勤務エリアからから選ぶ
精神科単科の病院は、都市部ばかりでなく郊外にも多いのが特徴です。
普段は仕事を忘れたい、仕事へ行くまでのあいだに気持ちを切り替えたいという看護師は、少し離れた勤務地を選ぶのもいいかもしれません。
精神科の患者さんは病院近くから通っていたり、近くのグループホームに住んでいたりすることもあります。
自宅近くの勤務地を選ぶ場合は、通いやすい一方プライベートでも患者さんと会いやすいことを理解しておきましょう。
まとめ
今回は、精神科看護師の仕事や魅力、向いている人、向いていない人について解説していきました。
精神科看護師の知識や技術は、勉強や実体験を重ねる中で少しづつ身についていくものだと感じています。
ときには悩むこともあると思いますが、その経験を次に活かしていけば、一人前の看護師になれるはずです。
精神科看護師に興味のある人は、この機会にチャレンジしてみませんか?