看護師の夜勤はつらい!その理由と向き合い方は?
あなたが「看護師になりたい」と思うようになったきっかけはなんでしょうか?
「身内に看護師がいたから」「病院によくお世話になっていたから」「病気で大事な人を亡くした経験があるから」というようにさまざまな理由から憧れの看護師になっても、実際に働きはじめるとつらさを感じることがあります。
特につらいと感じやすいのが「夜勤」。
看護師にとって、夜勤はなぜつらいのか、どうつらいのか私の体験談と一緒にご紹介していきましょう。
看護師にとっての「夜勤」
病棟勤務の看護師は、日勤常勤やパートでない限り、交代で日勤と夜勤の両方を担当します。
夜勤では夜勤手当が支給されるため、看護師の給与が一般水準よりも高くなるのです。
夜勤手当は9,000円~10,000円ほどが一般的で、病院や地域ごとに違います。
一見、とても高待遇なように見えるかもしれませんが、その分夜勤には多くのリスクがあります。
夜勤がつらい理由
それでは、看護師が具体的に「夜勤がつらい」と感じるのはどのようなポイントなのでしょうか?
生活習慣が乱れる
シフト制の場合、睡眠や食事の時間も曖昧になり、ライフワークバランスが乱れてしまうのがもっともつらいところです。
日勤が続き正常なサイクルに戻れても、一度夜勤のシフトに入れば、またペースが乱れます。
さらに3交代制の場合日勤、準夜勤、深夜勤と3つの形式で勤務するため、ますます身体を壊しやすくなります。
さらに連休も取りづらくなるため「長期休暇でゆっくりしたい」と願っても、なかなか叶いません。
日中に休めても、その日の夜からまた仕事となると、心も身体も思うように休まらないのです。
【3交代制のシフトの体験談】
私は、ペットの調子が悪そうで不安な中夜勤をこなしたことがあります。
朝11時ごろ帰宅して様子を見てみると、やっぱり調子が悪そうなので慌てて動物病院に行くことにしました。
治療をしてもらい自宅に帰ってこれたのはお昼すぎ。
夜勤明けの私はふらふらで、しかもその日の夜はまた仕事です。
夜勤後でアドレナリンが出ている上、ペットのことも気になってしまいほとんど寝ることができす、そのまま次の夜勤に突入しました。
仮眠時間もなく、夜勤が終わるころには立っているのも厳しい状態で、夜勤がハードであることをかみ締めた体験です。
休みが取りづらい
スタッフ数も多い日勤は、急なお休みでも「皆でカバーしよう!」となりますが、夜勤ではそうもいきません。
どこの病院も夜勤の人手不足は深刻化しており、シフトの通りにこなすのが精一杯です。
突然夜勤に勤務交代した場合、次の日の夜勤は誰がやる?と新しく問題が発生してしまいます。
周りに迷惑をかけないよう、「自分でどうにかしなければ」と考える看護師も少なくありません。
しかしどうにもできないこともあり、その場合は上司への報告も必要なため、やはり大きなストレスになってしまうのです。
【夜勤を欠勤したときの体験談】
あるとき、夜勤のシフトに入った初日に熱が出たことがあります。
もちろんそれだけでは休めないので、解熱剤を使ってなんとか勤務し、その日は自宅に帰りました。
無理やりご飯を食べてすぐ寝たのですが、起きてもまだ熱は下がっていませんでした。
夜勤までに治そうと、点滴をするため病院へ行き、看護科長へ状況を報告すると看護科長はカンカン。
「夜勤を休みたいってこと!?」「私の作ったシフトがイヤだってことでしょ!」「じゃああなたが作り直しなよ!」と言われ「いえ、必ず夜勤はやります」と言うしかありませんでした。
もちろんすぐに治るわけもなく、患者さんに伝染らないように苦しいながらマスクを二重にして、悔しさをかみ殺しながら出勤しました。
他のスタッフには「もう大丈夫です!」と言いながら、ものすごくつらい思いをしました。
当直医師への報告
急変があったときや指示を仰ぎたいとき、当直医師に報告が必要です。
病院当直医師が夜間も病院にいればスムーズに報告できるのですが、医師が自宅待機をしていると、電話しなければいけません。
寝ている医師に突然電話をすることで、不機嫌な対応をされることもあるため抵抗がある看護師も多いでしょう。
その中でも患者さんについて簡潔に伝え、的確な指示をもらわなければならないためプレッシャーもあります。
【医師に電話をしたときの体験談】
夜勤中に痙攣を起こした患者さんがいたのですが、担当医師が電話に出なかったことがあります。
何回か電話してようやくつながったのですが、先生は寝ぼけた状態。
何を言っているのか分からず聞き返すと「また痙攣したらそのとき連絡して!」と怒鳴られ、電話を切られてしまいました。
結局そのあと患者さんは痙攣を起こさず済みましたが、私だって電話したくてしているわけじゃないのに……とげっそりしました。
担当医師は次に会ったとき「この前はごめんね!」と笑っていたので、それ以上何も言えませんでした。
毎日遅くまで勤務している医師が大変な思いをしていることは重々承知していますが、やはり看護師も医師の言動に傷つき、つらいと感じることもあるものです。
残業が多い
少ない人数で回している夜勤は、日勤より担当する患者さんの数が多いため、記録にも時間がかかります。
さらに急変対応があれば、記録は後回しになります。
入院患者さんがいれば、後回しの作業も膨れ上がり、眠さをこらえて残業しながら記録しなければいけません。
【忙しい夜勤の体験談】
産科・小児科で勤務していたとき、夜勤中に4件のお産を経験したことがあります。
看護師は、出産後の赤ちゃんの蘇生処置をするのですが、中には点滴や保育器が必要な赤ちゃんもいます。
その日は、3人の赤ちゃんを小児科患者として対処しなければいけませんでした。
そのあいだに小児科入院の対応、検査や処置、ご家族への問診、薬の管理、記録など、すべて私の仕事です。
さらにもともと入院している患者さんのナースコール対応、点滴の交換、抗生剤の投与、経管栄養もしなければならず、腹をくくって一つひとつこなすしかありませんでした。
ミスがあってはいけないのですべきことを書き出し、一つずつチェックしながらどうにかこなしていきました。
日勤勤務の看護師さんに申し送りを終え、ヘトヘトになった私に残されていたのは、大量の記録。
2時間残業をしてどうにか終わらせましたが、もう経験したくありません。
まとめ
夜勤がつらい理由は人それぞれ違いますが、身体にも心にも大きな負担がかかることは変わりません。
家庭の理由などもあって夜勤ができないという看護師もいますが、反対に「生活が厳しいから」「家計を楽にしたいから」というように、夜勤をせざるを得ない看護師もいるはずです。
夜勤勤務をしている看護師は、ほとんどが「やっぱり夜勤はつらい」と感じています。
近年ではさまざまな対策によって夜勤の負担を抑えている病院もありますが、まだ浸透していません。
夜勤がつらいと辞めていく看護師が多いと、人手不足になり悪循環に陥ることもあります。
今後も、看護業界全体で夜勤の在り方に向き合う必要がありそうですね。